広義の雅楽の曲種のひとつ。10世紀ごろ貴族社会で流行した漢詩の詩意に節づけをして朗詠することをいった。現在伝承されている朗詠は14曲のみとなってしまったが最盛期は百を越す朗詠曲があったようである。


JTRAD 005

この「嘉辰」を除いて他の朗詠は漢詩を訓読して唱和するが嘉辰のみは音読で唱和する。漢詩は隋朝の詩人謝偃の作。独唱と斉唱で『嘉辰令月』(かしんれいげつ)、『歓無極』(かんむきょく)、『萬歳千秋』(ばんぜいせんしゅう)、『楽未央』(らくびよう)を詠う。出だしの順番が替わるだけで節、詩とも同じことを三回繰り返す構成になっているが、本録音は全曲が歌われる二の句からのものを収録している。
東京楽所、音楽監督/多 忠麿