「篳篥」は雅楽器のなかで、最も多くの種類の音楽に使われ、誄歌を除くすべての楽曲で使われ、その音は地上で生活する人間の声を表していると、古来から伝えられています。
「篳篥」は雅楽の主旋律を受け持ちますが、音域が1オクターブくらいしかないため、装飾的な奏法が発達しています。代表的なものが「塩梅(えんばい)」と呼ばれる奏法です。「篳篥」は舌(リード)が大きいため、同じ指使いでも舌(リード)のくわえ方によって3律前後の幅があります。この特徴を生かしてポルタメント的に演奏する技法を「塩梅」と言います。
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寸法:(管)長さ18cm 直径1(尾径)?_1.5(口径)cm(舌)長さ5.5cm
管は竹製で表7孔・裏2孔、やや楕円形に作られています。両端と各孔の間には樺(かば:桜の皮を細く裂いて紐状にしたもの)巻きが施されています。舌(した:リード)は蘆(あし)で作られており、表皮を向き一端をつぶしたもので、反対側に図紙(ずがみ:和紙)を巻いて管に差し込んで固定します。また、つぶした側は形が安定するように、細い籐で作った「責(せめ)」と呼ばれる枠型をはめます。「篳篥」を演奏する際は、舌(リード)を湿らせて吹きやすくする目的から、温かいお茶(シブのあるもの)に浸けるのが良いとされています。
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