「笙」は形を見てわかるとおり、鳳凰を模した姿をしており、その音は「天から差し込む光」を表していると考えられていました。「笙」のことを美称で「鳳笙(ほうしょう)」と呼ぶのもこういった理由からです。「笙」は主に管絃と左方舞楽で用いられ、「合竹(あいたけ)」と呼ばれる和音(コード)を奏して、ハーモニーの部分を受け持っている。また、催馬楽や朗詠では「一竹(いっちく:一本吹き)」と呼ばれるメロディーを奏でることもある。

寸法:長さ50cm 直径7cm
周囲が3〜4cm程度の竹管17本を、頭(かしら)と呼ばれる檜や桜で作った椀型に水牛の角で作った蓋をしたものに、差し込んだ構造になってる。各竹管の先端(頭に隠れる部分)には、響銅(さはり)で作った簧(した:リード)ついており、これが振動して音が鳴ります。発音原理はハーモニカに似ていると言えます。但し、17本の竹管のうち、簧(リード)がついているのは15管だけで、2本は音が鳴りません。かつてはこの2本にも簧(リード)がついていましたが、使われないために退化したと考えられます。「笙」は演奏前・演奏後に炭火で、楽器を焙って温めなければなりません。これは内部に水滴がついて調律が狂ったり、簧(リード)が振動しなくなったりするのを防ぐためです。