JTRAD 065

略して「六段」という。作曲は八橋検校(1613−1683)で近代筝曲の開祖である。勿論、生田流創始以前の古曲である。きわめて名高い曲であって、歌詞をもたぬ純粋の器楽曲である。こうした種類の曲を「段物」あるいは「調べ物」という。なぜ「六段」という名が付けられたのかというと、104拍子で作られた段が六つあるからである。この曲は筝曲のみならず、後世の音楽にいろいろ利用されている。
筝/米川敏子


JTRAD 066

筝曲では「六段の調」と並ぶ有名曲。吉沢検校が安政2年(1855)に作ったとされる。「古今和歌集」と「金葉和歌集」から千鳥に関する歌を一首づつ選んで歌詞とした。調弦は雅楽にヒントを得た「古今調子」によっている。この録音は前弾きと後弾きの器楽演奏の部分をまとめ構成したもの。
筝/米川敏子、米川めぐみ


JTRAD 067

作曲は「六段」と同じく八橋検校。段物といわれる筝の純粋器楽曲の名作のひとつ。「みだれ」の源となる曲は古い筑紫流筝曲(*日本音楽の歴史<尺八と筝曲>参照)に「綸説」(りんぜつ)として残されている。みだれの由来は、十二段から成る各段の小節数が一定しないことからついたと思われる。この録音は初段・二段・七段・八段・十段から構成され、小鼓を加えた変化のある編曲がとられている。
筝/米川敏子 小鼓/堅田喜三久


JTRAD 068

本来は尺八の曲であったものを、_保年間(1741〜1744)に藤永検校が三弦(三味線)に移したもの。尺八曲の原名「獅子」とその唄の中に「八千代」という一節があることから「八千代獅子」とつけられた。やがて筝にも移され初心者でも取組みやすいので人気曲になった。古くから歌舞伎の下座音楽(歌舞伎囃子)にも用いられ、長唄の「船弁慶」にも取り入れられている。ここでは筝で歌舞伎の華やかな雰囲気をといった構成がとられている。
筝/米川敏子 囃子/堅田喜三久社中


JTRAD 069

明治時代の筝曲の代表作。「平家物語」をイメージに秋の風物をモチーフにして作られた。明治10年(1877)頃に西山徳茂都が作曲、作詞は備前岡山城主の池田茂政。この録音は筝3名に弦楽合奏を加えた編曲がなされている。
筝/米川敏子 コロムビアオーケストラ