端唄と一口に言っても、上方端唄・江戸端唄と二種類ある。しかし、端唄と単にいうときは江戸端唄をさす。上方端唄と江戸端唄とは系統が違う。上方端唄を大ざっぱに定義づければ、京阪地方において検校・勾当といった盲人音楽家によって作曲され、あるいは彼らのレパートリーの中に採り入れられて伝承されてきた三味線歌曲としての地唄の一種だと言える。一口に言えば、地唄の中の長篇の歌に対して「黒髪」や「雪」といった短篇の歌が上方端唄である。ところが江戸端唄は、京阪地方で流行した上方小唄というべきものが江戸に流入し、その影響の下に江戸末期におこった江戸風の短篇の三味線歌曲である。俗な言い方をすれば江戸末期におこった江戸の流行唄である。


JTRAD 046

端唄としてこれ程知られた曲は他に無いと言ってよいくらい大衆化された曲である。うた沢にも取られていて寅派・芝派存在する。本調子ものの陽気な唄。 成立はいつの頃かわからないが、幕末の頃であろうか。新春の風物によせて、廓の女性が男の来るのを待っているという趣の、いかにも正月らしい気分の漂っている曲である。
唄/藤本二三吉、三味線/小静・きん


JTRAD 048

春雨にしっぽり濡るゝ鴬の 羽風に匂う梅が香や_。鴬と梅をテーマに品のよい端唄でほんのりとした色気があり、梅にも春とともに良く知られている作品。
唄/神田福丸